日本全国でサステイナブルな生活やビジネスをしている方にお話を伺う、サステイナブル・インタビュー
第7弾は北海道を拠点に日本全国で音楽活動を行うテロワールミュージシャンの中田雅史さんにお話を伺った。
2005年からシンガーソングライターとして活動している中田雅史さん。
出向いたその場その場に合う音楽を提供していたら「君はテロワールだね」と言われるようになり、2017年にテロワールミュージシャンとして再デビューを果たした。
フランス語で「土地、ワインなどの生育地域による地理や気候による特徴」を表すテロワール。
ーテロワールミュージシャンとは?
ー「人・空間との調和を超えて社会活動や環境活動の調和をも奏でるのが自分の考えるテロワールミュージシャンだね。“風土が巡っている有様を音楽で表現する人“とも言えるかな」
と中田さんが教えてくれた。
シンガーソングライターとして活動を始めた17年前。アコースティックギターのみで全国各地を飛び回り、時にはバンドでも演奏をする。大きいドームでの演奏経験から小さいバーでの演奏経験まで。ミュージシャンとしての活動は多岐に渡り、2021年の東京オリンピックでは開幕式のエンジニアチームとしても関わったとのこと。
ー「今は“奏でない”という仕事がたまにあるんだ。」 と笑いながら話す中田さん。
ー「人と人を繋げて、最適な空間づくりをする“コーディネイト“とか“トータルプロデュース“が得意なんだ」
その場の調和のために“その場に居てくれればいい“という仕事があるという!
ー拠点に対する考え方
北海道下牧村出身の中田さん。札幌や京都などの大都市にも移り住んだが、北海道銭函にあった祖母の家を自分たちで3年間リノベーションし、現在は銭函在住6年になる。
ー「僕はシャケなんだよね。人生は旅だと思っていて、今はその旅の途中。
様々な土地にお邪魔して、その土地ならではのエッセンスとか土地の種・微生物を吸収して、醸しながら旅をしている。道中その種を風のように様々な場所に運びながら化学反応を起こして、最終的に自分の故郷に帰ってきて、それまで吸収したものを還したいなと思ってるんだ。」
2022年は“風の時代“と言われているが、まさに中田さんは風の時代の申し子のような人生の捉え方をしている。
“シャケ旅人スタイル・テロワールボヘミアン“とご自身を表現する中田さん。拠点に対する面白い見解が聞けた。
ー「実は僕は田舎だけにいると飽きちゃうんだよね。だから最低でも3拠点を常に持っていたいんだ。
・マザープレイス(心落ち着く、全てを受け入れてくれる場所⇨北海道下牧村)
・ファザープレイス(仕事・才能を発揮できる場所⇨北海道銭函)
・フレンドプレイス(各地の友達との共有の場⇨全国)」
ー「ホームプレイスが一つあれば良いっていうタイプの人と僕みたいな漂流タイプの人がいると思っていてね。そういう人はシャケ旅人スタイルだよ。
“飽きる”って言うのは素晴らしい!とも思っているんだ。これまで新しいものや事をやってきた人は飽きるから新しいイノベーションを起こしてきたんだもの!」
ー「3番目のフレンドプレイスはね、共通の考えを持った友達が全国・世界各地にいるとする。そしてそこに遊びに行けば彼らの暮らしを体感することができるでしょ。つまりその土地ならではの自分の好きな暮らしをいつでも手に入れることが出来るんだ。お互いの家・生活を行き来できる仲間が全国にいるんだ。その交流でお互いに刺激をもらっている。」
今まで東京⇨ニュージーランド⇨オーストラリア⇨埼玉⇨フランスと移動生活を続けてきた私たち。
今回のフランス移住も「なんとなく今の生活に飽きた」という私の直感から決まったのだが…
正直この気持ちはネガティブなものなんだと思ってきた。
しかし、中田さんの話を聞いて「自分はシャケ的旅人なんだ!」と心から納得のいく答えを見つけられた。
現在の拠点・銭函についても聞いてみた。
ー「銭函は海・山・川の自然が溢れていて、札幌にすぐ出られるから道外にも出やすいんだ。北海道の歴史の中でも、初めの頃に栄えた場所なので、先進のオルタナティブな生活を育む面白い住人が多いんだよ。」
コロナで都会にいることによるリスクや震災によるリスクを考える人も増えただろう。
ー「命がどこにあるのか?ライフスタイルを豊かにするためには?と考えた時に、郊外とか自然の近くに移住する人が増えて、文化が再度分散し始めているよね。そういう意味でも自然と都会の距離感が銭函は最高なんだ。」 と自分のホームプレイスを幸せそうに語ってくれた。
ーギフトエコノミーへの移行
田舎特有の「ギフト文化」が苦手な私。中田さんはどのように考えているのだろう?
ー「僕は田舎育ちだからなんでも「ありがとう」って受け取っちゃうんだ。昔はよく『遠慮が足りない』って怒られていたけど笑。
でも“受け取れていない“ていうのがギフトエコノミーに完全に移行できない一番の問題だと思うよ。
ギフトエコノミーへの移行を考えた時「与える」ことからではなく「受け取る」ことから始めるのが大事。だって赤ちゃんは受け取ることから始めているでしょ?
自分の才能、先祖代代続いているから自分がここにいると言うことを“有難い“と受け取る。そうすると、自然と与えるものが溢れてくるんだ。その溢れてきたものを人に与えるから無理のないギフトとして、回っていくんだよ。」
受け取ることが苦手な人は「遠慮する」でも遠慮すると不調和が起こることがある。
ー「田舎だと「旬に殺される」っていう現象があってね笑 漁師さんが旬の魚が大量に採れたとする。売れる分、自分たちで食べる分を差し引いても余っちゃうんだよね。その余ったぶんをご近所さんやお世話になった人に「ギフト」としてあげるんだ。じゃあそれを「遠慮」して受け取らなかったら?魚は腐って無駄になってしまうでしょ?これが不調和。」
なるほど。自分から自然と溢れたものをギフトとして与える。そうして頂くものは遠慮せずに感謝を込めて受け取る。そしてまた溢れたものをお返ししたり、他の人に回す。これがギフトエコノミーの根本か!と納得した。
ーご縁の大切さ
過去に「1ヶ月間お金をかけずに生きていけるか?」という実験をヒッチハイクをしながら行ったという中田さん。
ー「その旅で、“全ての事柄は偶然ではなく必然でしかない“っていうことに気づいたんだ。
・ご縁のある場所にしか辿り着けない
・良いことも悪いことも良いタイミングでしか起きない
・ご縁をどう手繰り寄せるかと言うだけのこと。 を学んだよ」
今回、私たちの北海道自転車旅の道中にこうやって少しでも中田さんにお会いし、沢山の目の冷めるようなお話を聞けたのも、「ご縁」なのだろう。とても有難い経験をさせて頂いた。
ー現在・今後の活動
2021年から会社経営も始めた中田さん。さらに自身のオンラインサロンも立ち上げた。
オンラインサロン:テロワールヴィレッジ
ー“好きなことで豊かに生きる“
“暮らしをフェスにする“
の二つをテーマにそれぞれのテロワール:自分という命の本質に辿り着くこと を目指してる。
ー「色々なテロワールが混じりあって、各々が自分のテロワールに「気づく場所」にしたい。
ジョンレノンの“イマジン”の世界を自分の世界でやるなら…というのをオンラインサロンで挑戦しているんだ。
ー僕は何かを成し遂げるっていうよりも、次の新しい時代の土台となる“空気感づくり“を目指して、これからも色々なプロジェクトをやっていきたいと思っているよ。」 と笑顔で語ってくれた。
さらに2022年に入ってから家族でのキャンピングツアーも実行中!
IG・FBで情報アップ中なので、ぜひ中田さんのシャケ旅の様子をチェックしてほしい。
▽中田雅史−Official web site| http://nakatamasashi.com
▽合同会社テロワールリンク|https://terroir.link
▽オンラインコミュニティ「テロワールヴィレッジ」|https://village.terroir.link
▽Instagram | https://www.instagram.com/masashiuse
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▽Twitter | 中田雅史(テロワールミュージシャン) (@masashiuse)
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