【サステイナブル・インタビュー】Vol.6 本来の自分を取り戻す〜Dana village代表 小川美農里さん〜

日本全国でサステイナブルな生活やビジネスをしている方にお話を伺う、サステイナブル・インタビュー

第6弾は福島県西会津町にあるDana village代表の小川美農里さんにお話を伺った。

実際に私たちもボランティアとして10日間Dana villageでの生活を体験させていただいたので、その様子も写真や動画で楽しんでいただければと思う。

古い学校のリノベーション

ーDana villageとは?

2016年小川さんとオランダ人パートナーのお二人が福島県西会津町で始めた体験型宿泊施設兼コミュニティである。

『全てのいのちが輝く社会づくり 』

をミッションに『本来の自分を取り戻そう』というテーマのもと、宿泊のゲストとして、ボランティアとして、短期の体験プロジェクトの参加者として、また最近はオンライン授業やリモート仕事の合間にボランティア参加ができるハーフボランティアとして様々な関わり方を提供している。

ー「今の世の中、様々な要因で自分らしく健康でいられない、自分がやりたいことができずにモヤモヤしている方が多く来られます。

 そういう方達に自然の中で循環可能な自然から搾取しない農的生活、また日本中・世界中から来られる他のゲストの方との共同生活を通して『自分が本当に好きだったもの』や『自然の中での暮らしの心地よさ』を考えるきっかけになると良いなと思っています」と語る代表の小川さん。 

ーDana village設立への経緯

福島県喜多方市の出身である小川さん。18年ぶりに福島県にUターンし2016年にDana villageを設立。

元々日本で看護師として病院勤務をしていた小川さん。大学在学中から世界各地の孤児院や難民キャンプでのボランティアを経験。2014年に南インドにある世界最大のエコヴィレッジと称されるオーロヴィルにボランティアスタッフとして滞在していた。(小川さんのオーロヴィル体験記

ー「オーロヴィルでは、人間がのびのびと内発的なやりたいことに基づきながら、他の人や生き物と調和した生き方を実践していました。また、自然から搾取しない持続可能性な生活も。

 その持続可能性と人間の幸せ、どちらも両立する生活を日本でも、強いてはここ福島県で実践したいと思ったんです。

 ここの生活を一つの気づきとしてもらって、その後色々な場所でムーブメントが繰り広げられたら良いなと思ってDana villageを始めました」

そんな思いの下、福島県にパートナーと共に帰国した小川さん。

現在の拠点である西会津町安座地区にあったリノベーションされた学校の建物を見つけ、宿泊施設として事業を開始した。

ー現在の環境問題を取り巻く日本の政策について

『地球に優しく』と言う言葉があまり好きではないと語る小川さん。その真意を聞いてみた。

ー「地球や自然は『大いなる母』私たちに無条件の愛を与えるように、光を与えてくれて、全ての命が育まれるもの。人間からの見返りなんて求めていないんです。その大いなる母に対して「優しくする」という言葉に人間の上から目線と傲慢さを感じます。

 また、私たち人間も自然の一部なので、自然の理に沿った行動をすることで、生きやすさを感じたりいのちまるごとの健康を獲得できるし、自然から必要以上の搾取をする必要がないので報復もこない。と思っています。

 最近は、技術的な革新もよく謳われているけれど、技術以前に『人間は今までと同じ暮らしを続けていくの!?』というところの見直しをしてほしいなと思います。

 環境問題の解決を考えると「政策のスピードアップを」と思うこともあるけれど、人間のライフスタイル自体は「スロー」になった方がいいと思っていて、暮らしや生き方自体を『自分も心地よく・コミュニティや自然とも調和がもたらされるような方向』にシフトする人が増えたらいいなと思っています。」

コロナで働き方やライフスタイルを考え、移住した方も多いのではないだろうか?しかし、田舎での生活に不安を覚える方も多い。

ー「Dana villageでの宿泊やボランティア生活を通してその不安を払拭してもらえたらと思います」

お金がなくてもものすごく豊かな生活ができている。美味しいご飯・お水が飲めて、遠くに行かなくても美しい自然や満点の星空を見られる。と小川さんは心からの笑顔で今の生活を語ってくれた。

ーライフスタイルを変えたい人へのアドバイス

都会に住んでいながらも、小川さんのような生活にライフスタイルを変えることはできるのだろうか?アドバイスを聞いてみた。

ー「身近なところから取り入れてほしい。したくない無理をするとストレスになってしまうから。

 都会に住んでいても、ベランダでコンポストもできるし、種から育てる(本当は土から育ててほしいけどね!)体験をしてほしいと思います。あとは、天然のアロマの使用がお勧めです。

 それと都会で今やっていることの意味とか、『自分が本当に今のライフスタイル・仕事をこれからも続けていきたいのか?』とか『何のためにやっているのか』などを考え、目的を明確化してみるのが良いかなと。色々な妥協の上で今の生活をしているのなら、時間もエネルギーも勿体無い!

 医療従事者として思うのは、人間って生まれてから大人になる過程で死んでしまう可能性が数多あるんです。今の自分まで育ったことが本当に奇跡で。そんな奇跡のような自分にもっと感謝して、労って、自分の可能性を信じてほしいと思います。

 自分自身を信頼してまずは一歩踏み出してやってみる。やってみることで、自分を受容できるきっかけができると思います。」

失敗は悪いことと教えられて育った私には、挑戦することが怖いと言う気持ちがわかる。だからこそ、Dana villageでは、何事もまず「やってみる?」と聞いてくれる。「やったことないから…」は断りの理由にはならない。「とりあえずやってみる!やってみたら出来た!」このトライ&エラーを繰り返し、成功体験や試行錯誤が身についていくのだろう。

ービジネスを始めたい人へのアドバイス

ー「自分が提供しているものに対して、お金をいただくということは必要なこと。自分が良いと思っていることを継続させていくためにも、マネタイズできるシステムは大事。ただ「お金になるからやる」のではなくて「やりたいからやる」と言う気持ちが大事だと思います。」

小川さん達の場合は、初期費用はほとんどかからず、人とのご縁があって始めることができたと。

ビビっとくるご縁を探してみる。っていうのは大事です。実際に自分がやりたいことをやっている場所に足を運んでみて、直接話を聞いてみる。そうすることによって自分がやりたいビジネスの構成をシャープにすることができるから。」とご自身の経験を語ってくれた。

ー「最初の2ー3年は思いはあるけれど、それを言語化することが難しくて、提供しているサービスとターゲットが合っていなかったり、ゲストとのミスマッチがあったりしました。でも苦手だった「発信する」ということに対して、得意な人が手伝ってくれたり、勉強したりして段々良くなってきたと思います。」

Dana villageに来る方達は「ここに来たい!小川さんに会いたい!」と思ってくる方が多いと滞在中に感じた。小川さんの強い思いを、発信を通して共感した人たちが、日本中・世界中から集まってくる。小川さんには「これがしたい」と言う強い思いがあるから、常にブラッシュアップは欠かさない。これが成功の秘訣だなと滞在中に密かに感じていた。

ー今後の展開

1、2022年中にDanaのサブスクリプションプランの立ち上げ

小川さんがもう一つ代表を務めるチャルジョウ西会津農場は完全有機栽培農家。

ー「日本でも世界でもオーガニックの需要は高まっているが、肝心の有機農家は経済的に持続可能ではないんです。そこには販売先の確保、市場の規格の問題など課題はたくさんある」とのこと。

また、周囲に耕作放置地が多く、獣害の被害などにも繋がっている。

ー「ゲストの方がDanaにいる間は体調が良くなり、よく眠れた。と言ってくれることが多いんですが、皆さん普段の生活に戻るとその生活を継続出来ないので、トータルサポートがしきれていないと感じていました。」

そこで、これらの問題点を解決できるようにサブスクリプションプランを考えているとのこと。

ー「たとえば、「血糖値改善プラン」や「自律神経バランスプラン」などとして、有機野菜の定期便とオンラインでの瞑想や健康のアドバイスを受けられるようにしたいんです。

 医療的サポートの必要な方は、近くのお医者さんと連携して血液検査の結果などを一緒に確認・面談しながらフォローしていきたい。」

現在、この構想で一緒に動いてくれる方を探しているとのことこの記事を読んで興味のある方はぜひ、小川さんに連絡をしていただきたい。

2、ホリスティック医療との連携

 ホリスティック医療とは:機械を治すようなデータ重視の近代的な医療ではなく、代替医療も含めた「人間をいのちまるごとで診る」こと。

自身もバイオダイナミック・クラニオセイクラルセラピストとして代替医療のセラピーを提供している小川さん。ホリスティック医療の課題を指摘していた。

近代的な医療は分業化しているが、各診療科同士・横の連携が取れている。しかし、ホリスティック医療では横の連携が取りづらい。ホリスティック医療と言ってもそのアプローチの方法は多岐に渡るため、各業界の横のネットワークが構築されていないので、批判されることがあると。

その解決策として「ネットワークをオンライン上に作りたい。」と友人の医師と構想を練っている小川さん。

ー「患者さんが、自身の体の状態を色々な医療者に相談ができる形や、セラピスト同士が自分の施術に関して相談のできる形を考えています。患者さんにも、セラピストにもプラスになるし、引いては日本の高額な医療費問題の解決にもつながると思うんです。」と今後の展望を語ってくれた。

よく個人の活動は世界の流れには影響を与えられないと思っている人が多い中で、小川さんは常に鳥の目として大きなビジョンを持ちつつ、個人としてその問題をいかに解決できるかを考え、着実に実行している。

そんな小川さんにぜひ会いに行って欲しいし、ぜひDana villageでの生活を通して、今の自分を見直すきっか家になる体験をして欲しい。


Dana villageの情報👇

小川さんが2021年友人と立ち上げた新事業の情報👇

インタビュー全編が音声・Podcastで楽しめます👇

インタビューの様子が動画で楽しめます👇

https://youtu.be/Ql4Yo8LB3dc

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