入谷にあった古民家カフェ兼エシカルショップ Cafe&kitchen ayacoya
2021年末にとても素敵なお店で彩子さんにインタビューをさせていたいただきました。
残念ながら2022年2月末にcafe&kitchen ayacoyaは閉店してしまいましたが、今後もayacoyaとしての活動は続けていくようなので、彩子さんの活動に注目です!
ーCafe&kitchen ayacoyaとは?ー
以前は花柳界の一つで料亭であったという住宅を兼ねた古民家。
父親が体調を崩しサラリーマンを辞めたことをきっかけに家族で台東区鳥越に喫茶店を開業。
10年ほど後、使用していなかった自宅の料亭部分を利用しおでんと家庭料理の店「満寿多」を開業。
20年の営業の末、両親の加齢による体調の不安もあり昼営業のcafe&kitchen ayacoyaの開業となった。
2021年3月末にさらに現在の形である「ヴィーガンカフェ・エシカルショップ」としてリニューアルオープンを果たした。
カフェでの食事は全てヴィーガン食、日替わりの焼き菓子はヴィーガン対応のものと、卵のみ使用のものがある。
「食事の合間に目でも楽しんでいただけるように」
とカウンターにはオーガニック食品が並び、量り売りでの購入が可能。また玄関部分ではエシカルな生活雑貨やフェアトレード用品が並ぶ。
「環境問題にプラスとまではいかないかもしれないが、そこに少しでも意識が向くようなメニュー・商品が並ぶ『地球に優しいお店』です」と語る彩子さん。
ーヴィーガンカフェ・エシカルショップへの移行のきっかけは?ー
2020年5月にあった新型コロナウィルスによる第一回目の緊急事態宣言の発令。
外出規制のため、自宅にいることが多くなった際「おうちYoga」のためにインスタグラムでフォローしていた人達のフィードに「地球温暖化現象」などのキーワードを良く見かけるようになったとのこと。
「元々全然無関心だったし、正直こんなに酷くなっているっていうことを知らなかった。その時に初めて気づいたんです」と語る彩子さん。
このことがきっかけで、私生活でのヴィーガン食生活への移行、できるだけプラスチックを使わない“脱プラ生活”への移行をする中で
「自分だけ頑張っていても寂しかったので、自分にできることは無いか?と考えたんです。せっかく場所があるから、自分のように何も知らない人たちに、何かを知ってもらう場を作りたい」
とCafeのコンセプトを心機一転変更することを決意した。
「敷居の高いお店ではなく、ズボラな私でもこんなことならできたからやってみませんか?と小さい行動の提案ができる敷居の低いお店にしたかったんです。無理に頑張ろう!というスタンスではなく、辛かったら一旦辞めてもいいんだよ。と思っているから。
「1人の100歩より100人の一歩」
みたいに、皆んなが自分にできることを日々ちょっとづつでもやったらいいと思って」
ーお客さんとの対話ー
コンセプトの変更後、地元のお客さん、遠方のお客さん、ヴィーガンに興味のある方から、初めてヴィーガン食を食べる方まで幅広い方が来店している。
カフェで初めて大豆ミートを食べた方が大豆ミートの使用方法がわからなければ、彩子さんが量り売りコーナーに売られている大豆ミートの紹介とともに、調理の仕方や美味しく食べられるヒントを教えてくれる。
「それで購入してくれて、次回いらっしゃった時に『この間の作ってみたらとても美味しくできました』って声をかけてくださる瞬間が、とっても嬉しい」と笑顔を見せる彩子さん。
昔ながらの個人商店の多い入谷地域。
スーパーでの無機質な買い物ではなく、個人商店で店主の方とお話をしたりしながらのコミュニケーションのある消費をすると、楽しく生活ができることを体現されているのを感じる。
ー私生活での変化についてー
第1回目の緊急事態宣言後から私生活でも地球環境を考慮し始めた彩子さん。そこで学んだこととは?と聞いてみた。
「習慣化っていうのがとても大切だということに気づきました」
エコバッグや空容器など、使い捨てやプラスチック用品を避けようとすると必ず持ち歩かなくてはいけない物品の数々。初めは忘れることもあったが、毎日の習慣にしていたら今は何も考えずとも持参していると。
「こういう小さい行動を皆んなが習慣化したらすごいことになると思うんだよね」
また、食事や生活雑貨に関しては「今は自分の心地良いものを選択するようにしたの」と。
ヴィーガン食を始めた時、家族4人4用に違う食材を購入し、調理をすることがとても大変でストレスに感じてしまった彩子さん。
「全てを地球のため、未来の子どものためと考えると、今の自分を犠牲にしている感じがしたの。心身衛生上良くないと感じて、持続可能ではなかったからやり方を変えた」と語る。
彩子さんの話を聞いていて、なんとなく毎日を過ごすなかで、なんとなく生活雑貨を選び、なんとなく食べるものを選ぶより一度立ち止まって自分が本当に必要なもの、自分が本当に良いと思うものを選択する。それが忙しい現代を生きる人には大事だと思った。
新型コロナの影響で『1人で考える時間』を確保できた人も多いのではないだろうか。そこでの選択や考える習慣をこれからも継続していきたいと私は思う。
ーライフスタイルシフトをしたい方へのアドバイスー
脱プラであれば、家の近くの個人商店にダメもとで空容器を持っていき、『ここに入れてくれませんか?』と勇気を出して聞いてみる。
また、外食の際には『〇〇要りません』と使い捨てのものを断ってみるのがオススメ!
勇気がいるかもしれないが、ゲーム感覚で楽しみながらやってみるといいとのこと。
ービジネスを始めたい方へのアドバイスー
「仕入れ先などは元々自分が好きで購入していたお店に直接取引の話をしてみるのが一番早いと思う」と自身の経験を振り返る彩子さん。
「最低ロットなどの条件をクリアすれば、意外とすんなりいくよ」とのこと。
ここ数年で、東京近郊にも自宅の一角に量り売り店を開業する方も出てきた。
「個人だからできることは沢山ある」と力強く語る彩子さんから勇気をもらえた。
ただ、そんな彩子さんにもビジネスをしていく上で悩んだこともあったとのこと。
「お客さんから『毎日地球のことを考えて頑張っていてすごい』と言われることに罪悪感が生まれた時期があって…」とその時のことを振り返ってくれた。
「自分が100%ヴィーガンやエシカルなことをできているわけではないのに、こんなお店をやっていていいのかな?と罪の意識に囚われちゃって…」
そんな時に旦那さんが彩子さんに
「お店は君が良いと思ったものを並べて、それができていようがいまいが、好きなものに囲まれた君がイキイキ、明るく笑顔でお店に立っているだけでいいんだよ」と言ってもらえて救われたと。
「別に自分が100%できていなくても、自分が好きなものを置いてそれを100%伝えることができればいいんだって。自分がやりたいことに向かって、元気に明るく商品の良さを愛を込めてお伝えできればいいと思うようになったんです」と笑顔で語る彩子さん。
今後もこんな笑顔が溢れるハッピーショップがいっぱい増えて欲しいと思った。
ー今後の展望ー
お店は2022年2月末に閉店してしまったが、今後はワークショップの開催や地域のマーケットやイベントへの出店、個人の活動を続けていきたい。と前向きな彩子さん。
「今後も常に自分が良いと思ったもの、自分が好きなことをやっていきたい」と語るayacoyaの今後にさらなる期待をしたい。
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