イベントレポート第2弾!ということで、今回は… 「海洋プラスチックごみの現状とわたしたちができること」です!
9月14日横浜都築市にあるナチュラル&ハーモニック プランツさん主催の講演会にお邪魔してきました。お話されていたのは、非営利環境NGO:JEANの事務局長である小島さんです。
JEANは海ゴミだけを30年!と小島さんが紹介されていましたが、国際海岸クリーンナップICCの日本支部として、海岸クリーンナップや講演などの普及啓発、環境教区、政策提言などに取り組んでいるNGOです。
※以前のイベントレポートでは、「コミュニティの大切さ」をシェア致しました。
まずは日本の地形とそれらを囲む海流の特徴から教えて頂きました。
日本海側・東シナ海側は閉鎖的な地形と海流が緩やかな為、海岸線により多くのゴミが漂着するようです。逆に太平洋側は開放的な地形の為、日本の海岸線よりも、アメリカやフィリピンなど他国の海岸線に日本のゴミが漂着しています。それを表しているエピソードがありました。
小島さんの元に、アメリカの海洋学者さんからゴミに関する連絡があったそうです。同じ形状のプラスチックゴミがアメリカに大量に漂着しているのだが、なんのゴミなのかわからないと。そして、その地域には普段から日本語のラベルの付いたプラスチックゴミが大量に漂着していることもあり、小島さんの元に連絡が来たそうです。
これは私達が知らないだけで、とっても恥ずべき事実だと思います。
そんな海岸クリーンナップを小島さん始めJEANの皆さんやボランティアの方、各地域の方などと一緒に行っているようですが、問題点は山積みのようです。
まず、人手不足、さらに交通の便が悪いところなどは年に1,2回ほどしかクリーンナップを行えず、毎回足の踏み場もない位ゴミで溢れているとのこと。
さらに、拾ったゴミは拾った場所の自治体が税金で処理しなければならず、予算が足りなくなり、自宅の庭先に拾ったゴミを保管されているメンバーの方もいるとのこと。
これにはとても驚きました。オーストラリアでも海岸クリーンナップに参加したことがありますが、場所によっては管理地区の方がクリーンナップを頻繁に行っていました。さらに、メルボルンには大きな川があり、そこをカヤックで下りながらクリーンナップするという活動もありとてもクリーンナップに参加する方が多いように感じていたので、日本の現状の一端を知りました。
そもそもプラスチックとは?
1907年に石油から作られた合成樹脂です。
1964年に初めて深海魚の胃からプラスチックの破片が見つかっているそうです。
1966年に初めてオットセイがゴミに絡まってしまうという問題提起がされた…が誰もプラスチックに異を唱えず2019年まできてしまっています。
1970年には包装用素材が紙よりもプラスチック製の物が多くなりました。
プラスチックの長所である、軽くて色々な形に製造できる、耐久性に優れているという長所が、風や川の流れに乗って海に流れ着き、姿を変えずにゴミとなるという短所になっています。
また、外気に当たり続けていると劣化するのです。
自宅にあるプラスチック製の洗濯物干しを外に干しておくと、パラパラと破片が落ちてくることはないでしょうか?
それが海に流れ着いたプラスチック製品は、海塩の影響も受け劣化してマイクロプラスチックとなり、魚がプランクトンと間違えて食べてしまい、その魚を食べる私たちの身体の中にもクレジットカード1枚分のマイクロプラスチックが蓄積されていると言われています。
世界中で年間約4トンのプラスチックが製造されていますが、その約半分の2トンは使い捨ての商品ということです。
日本では、年間232億本のペットボトルが製造されており、1年間で1人当たり183本のペットボトルを使用している計算になります。
レジ袋に関しては、305億枚使用しており、これは原油カンター2隻分の石油を使用している計算です
さらに、海洋汚染の面では、1年に2万頭近い海洋哺乳類が、合成繊維を使用した漁網などに絡まる被害が起きているのだそうです!
最近良く聞くマイクロプラスチックとは?
1次的マイクロプラスチック:始めから1㎜以下に作られているプラスチック製品の事です。ex.美容スクラブや研磨剤、トナーなど
2次的マイクロプラスチック:海に出てから劣化で破壊された物や、破片の事です
例えば、フリース1着を一回洗濯すると2000本のマイクロプラスチック繊維が排水に流れ出ると言われています。私達が使用しているスポンジや衣類に今や大量に使用されているプラスチック繊維が、このように排水から海に流れ出ているのです。
世界では1次的マイクロプラスチックの製造を法律で禁止していますが、日本では企業努力にとどめられています。
それを表す商品が、洗剤いらずのうたい文句で売られている、メラミンやアクリルスポンジです。これらはマイクロプラスチック作成スポンジと言っても過言ではありません。使用していると段々小さくなりませんか?その破片はどこに行っているのですか?消えているのですか?違います!マイクロプラスチックとして排水に流れているだけなのです!
日本では60年以上シングルユーズのプラスチックを使用し続けているので、ゴミは増える一方です。さらに最近は衛生上の問題や、利便性の面から特にシングルユーズのプラスチック製品の使用が加速されていると感じます。
日本の現状とは?
世界の認識は変わりつつあります。
2015年のG7でプラゴミの減量への政策がでました。しかし、日米のみサインしませんでした。2018年にやっとサインしましたが、他国が2020年までに対策を提言しているのに対して、日本は2050年までに対策をするという動きの遅さです。
EUではシングルユーズのプラスチックは法律で禁止とすると発表がありました。拡大生産者責任を全面に出し、廃棄方法に関する表示義務やその廃棄に関しては生産者が完全費用負担とするようです。
現在日本で言われるプラスチックのリサイクルの70%がサーマルリサイクルという方法を取っています。これはプラスチックを燃やした時の熱量を利用するという方法です。ですが、これは世界ではリサイクルとして認められていません。さらに、焼却時に出るCo2の問題です。パリ協定でCo2排出を2030年までにゼロにすると日本は言いましたので、焼却も問題になります。日本人はリサイクルされているならいいじゃんと思っていますが、それはまさにリサイクル幻想です!
さらに日本人は基本完璧主義、清潔すぎる、過剰包装いう国民性がシングルユーズのプラスチック使用を助長させているのです。
私たちにできる事とは?
国際海岸クリーンナップICCは”いつまで拾ったらこのゴミは無くなるのか?そもそもの元栓である使用量を減らす必要がある”と提言しました。
海洋域で見つかるゴミの70%が陸域のゴミであり、その原因にはポイ捨てもありますが、収集車の取りこぼしやカラスがゴミを荒らしたり、台風などで飛ばされたり…普段ゴミの話をすると、色んな方から「私はいつもちゃんと分別してごみ捨て場に捨てている」と言われますが、自分はあそこに捨てたからで終わり!ではなく、一人一人がその後の流れにも興味を持って、ゴミを減らす努力をしましょう。
「現実を知り、それを自分ごとにすることが大事」
この小島さんの一言がとても印象的でした。
この記事を通して、少しでも多くの人が事実を知って欲しいと思います。
さらに、プラスチックを使わない生活のヒントは以前の記事を読んで頂ければ、明日からでも出来るヒントを書いてますので、ぜひ実際に行ってみてください♪